近代絵画の父との異名を持つロココ・ロマン主義時代の画家フランシスコ・デ・ゴヤが手がけた、西洋絵画史上、最も戦慄を感じさせる問題作『我が子を喰らうサトゥルヌス(黒い絵)』。画家が1819年の2月にマドリッド郊外マンサナレス河畔に購入した別荘≪聾の家(聾者の家)≫の壁画のひとつとして別荘一階食堂の扉の右側に描かれた本作の主題は、天空神ウラノスと大地の女神ガイアの間に生まれた6番目(末弟)の巨人族で、ローマ神話における農耕神のほか、土星の惑星神や時の翁(時の擬人像)としても知られるサトゥルヌスが、我が子のひとりによって王座から追放されるとの予言を受け、次々と生まれてくる息子たちを喰らう逸話≪我が子を喰らうサトゥルヌス≫の場面である。